石破茂首相は2025年現在、国民からは一定の支持を集めながらも、自民党内では”嫌われ者”と称されることもある異色の政治家です。保守政党・自民党にありながら派閥政治に馴染まず、常に独自の路線を歩んできたその姿勢は、評価と反発を同時に呼び込んできました。
本記事では、「石破茂はなぜ嫌われるのか?」という問いを軸に、彼の政治的背景・党内評価・政策運営といった多角的視点から、その人物像を明らかにしていきます。

石破茂の政治経歴と党内での立ち位置

石破茂氏は、防衛庁長官、防衛大臣、農林水産大臣などを歴任し、安全保障や地方創生の分野で独自の視点を発信し続けてきました。早くから自民党内の派閥に依存せず、無派閥を貫いたことで”改革派”としての評価を得る一方、党内での調整能力や根回しに欠けるという批判も受けてきました。
2009年の政権交代前後には、党運営や戦略に対して公然と異論を唱えることも多く、「造反者」として警戒される存在に。その後も、総裁選に挑戦するなど存在感は示してきましたが、主流派からは距離を置かれてきました。

一匹狼的な立ち回りが異彩として光る一方で、孤立の種にもなったのかもしれませんね。
なぜ「嫌われ者」とされるのか:党内での評価

石破氏が「嫌われる」とされる背景には、以下のような要因が挙げられます。
- 他の政治家が避けがちな問題にも切り込む正直な発言スタイル
- 党議に縛られず信念に基づいた行動を取る姿勢
- 派閥に属さず、自らの信条を貫くスタイル
これらは国民から見ると誠実さや信頼感につながる一方で、党内では「協調性に欠ける」「扱いにくい」と捉えられることが多かったのです。自民党内で重視される”和をもって貴しとする”空気に対し、石破氏は理詰めで異論を述べる場面が目立ち、結果として孤立を深めることもしばしばありました。

理屈っぽさは信頼を生む一方で、“煙たさ”にもつながるんでしょうね。
現在の政権運営と党内の反応

2024年秋、自民党内の総裁選を経て石破茂が首相に就任。就任直後から、防衛政策の見直し、地方再生の加速、行政のスリム化などを掲げる改革路線を打ち出しました。しかし、その迅速な意思決定と独立色の強い人事は、党内の旧来のパワーバランスに波紋を広げています。
特に注目されたのが、農林水産相に小泉進次郎氏を起用した点。若手を抜擢し、党内の世代交代を促す姿勢は支持も得ましたが、一部のベテラン議員からは「経験不足を軽視している」との批判も。党内の反応はまさに賛否両論といえます。

変化に期待する声と、慎重な視線が入り混じる状況なんでしょう。
国民からの支持とその理由

石破茂氏は、長年にわたり「次の首相にふさわしい人物」として高い評価を受け続けています。時事通信が2024年7月に実施した世論調査では、「次期首相にふさわしい人物」の項目で石破氏は22.1%の支持を獲得し、他の候補を大きく引き離して1位にランクインしました。
その背景には、以下のような要因があります。
1. 「誠実で実直」な政治姿勢
石破氏は、曖昧な物言いを避け、政策に対する持論を率直に語るスタイルで知られています。
特に安全保障や憲法改正などの難しい議題においても、逃げずに丁寧に説明する姿勢が「わかりやすい」「誠実」と評価されており、政治不信が高まる中においては、数少ない“信頼できる政治家”として国民の支持を集めています。
2. 地方と中小企業への目配り
石破氏は、都市部中心の政策だけでなく、地方経済の再生や中小企業支援にも重点を置いてきました。農業や地方創生に関しても積極的な提言を行っており、都市圏以外の有権者からは「地方に目を向けてくれる政治家」として信頼を集めています。
3. 政治家としての実績と経験
防衛庁長官、農林水産大臣、地方創生担当大臣などを歴任し、政策通としての実力も広く知られています。この“政策のプロ”という一面も、単なる人気取りに終始しない政治家として、国民の評価を高めている要因です。
一方で、自民党内での派閥力学にはなじまない姿勢や、かつて新進党への参加歴があることなどから、「党内では浮いた存在」と見なされる場面も少なくありません。しかし、その“孤高の立場”こそが、国民にとっては逆に魅力的に映っているとも言えるでしょう。

今後の展望と課題

石破茂首相が今後直面する最大の課題は、党内との関係性の再構築です。自身の政治信条を貫くあまり、党内基盤の脆弱さが致命的な障害となる可能性もあります。政策実現のためには、いかに味方を増やし、異なる意見を取り込めるかがカギを握ります。
また、外交・経済の両輪で日本をどう牽引していくかが問われる局面において、指導力と説明責任の両立が求められています。

“孤高の改革者”から“共創のリーダー”へ、転換の時なのかもしれません。

まとめ
石破茂氏が「嫌われる」理由には、保守政党内での異端ともいえる存在感と、それに伴う軋轢があります。しかしその反面、誠実な姿勢と一貫した理念は、国民からの根強い支持につながっています。
“嫌われ者”というレッテルの裏にあるのは、旧態依然とした党内構造と、変化を求める時代とのギャップです。石破茂という政治家の本質を見極めることは、今後の日本政治のあり方を考える上でも重要なテーマとなるでしょう。
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